覇王別姫

シネマの宝石学―洗練された大人のおとぎ話06

激動に生きた皇帝と捨て子の運命(2)

「覇王別姫」

覇王別姫の主役は、京劇の人気女形、程 蝶衣(レスリー・チャン)である。彼の母親は、最下層の遊女で、育てられなくなった幼い息子を、京劇の劇団に預けにきて、断られる。彼には、指が6本あったからで、母は小さな息子のため、その場で、包丁を取り、指を切り落とす。蝶衣(幼名、小豆)は、泣くこともない。無邪気さとは、すでに無縁なこどもなのだ。彼には、寒さをしのぐ毛布さえなかった。彼の財産は、布団の下に隠した数枚のコインと、もって生まれた美貌だけなのだ。

ここでの修行は、目を覆いたくなるほどの過酷さである。せりふを間違えたり、演技が下手だったり、些細ないたずらのたびに、頑丈な杖で、何度もぶたれる。頭に水の入った洗面器を乗せ、長時間、たたされる。体をやわらかくするため、片足を縛られ、肩まで上げさせられた形で立ち続ける。修行に耐えられず、逃げたり、自殺してしまう子もいるほどだ。蝶衣は、耐えた。

耐えることが出来、しかも天分があり、きっかけをつかんだ子供だけが、人気俳優として、別世界のような表舞台にのぼることができるのだ。西太后の宦官だったという老人に気に入られ、からだを犠牲に、蝶衣は、きっかけをつかんだ。成功。喝采を浴び、贅沢も思いのまま。

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激動に生きた皇帝と捨て子の運命「ラストエンペラー・覇王別姫」adobe_pdf_file_icon_24x24

岩田裕子