愛と哀しみの果て

シネマの宝石学―洗練された大人のおとぎ話14

アフリカの大地に輝く宝石

「愛と哀しみの果て」

「あんなに甘い空気は初めて」主演のメリル・ストリープがインタビューで語った。「とても美しい土地よ。魂が開放される」 アフリカ。ケニア。そこは特別な土地。まだいったこともないくせに、わたしにはわかる気がした。胸の底にずんと響くのだ。神のすむ土地。アフリカではないけれど、私は特別の土地を知っていて、でも、そこよりもっと、何かのある土地・・・

今、絶版になった私の本に復刊の話があり、新しい宝石について書き足している。サボライトやタンザナイト、そしてペツォッタイト。前の二つは20世紀後半に生まれ、最後の一つは3年前、2002年12月に発見された。産地はどれもアフリカだった。それぞれケニア。タンザニア。マダガスカル。アフリカについて調べれば調べるほど、そのスケールの大きさ、自然の掟という非情な美しさ、底知れぬ深さをたたえた文化に心惹かれた。惑溺した、といってもいいかもしれない。

アフリカを舞台にした映画を見まくった。「アフリカの女王」「ヘカテ」「イングリッシュペイシャント」「シェルタリングスカイ」・・・タンザナイトの故郷を舞台にした「キリマンジャロの雪」について書きたかった。しかし一番夢中になってしまったのは「アウト・オブ・アフリカ」(邦題「愛と哀しみの果て」)。

この映画は、ケニアを舞台にしている。メリル・ストリープ演じるヒロイン、カレン・ブリクセンは、実在の人物で、この地に14年住んだ。後年、有名作家アイザック・ディネーセンとなり、「アフリカの日々」という自伝を発表。それを映画化したのがこの作品なのだ。今、彼女の家は博物館となり、観光客を受け入れている。

果てしなく広がるケニアの大地。そこにゆらゆらとのぼる朝日のシーンから、この優雅で雄大な映画は始まった。2時間40分、アフリカにひたきり、私もその地で、幾年かを過ごしたようなそんな錯覚に襲われた。
<続きは、PDFファイルをご覧ください>

アフリカの大地に輝く宝石「愛と哀しみの果て」adobe_pdf_file_icon_24x24

岩田裕子