ラストエンペラー

シネマの宝石学―洗練された大人のおとぎ話06

激動に生きた皇帝と捨て子の運命(1)

「ラストエンペラー」

主役は、言わずと知れた、清国最後の皇帝、愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)である。前皇帝の甥にあたり、かの西太后に呼ばれて、母から離され、3歳にして、「一万年帝国の天子」へと指名される。何もわけのわからない幼すぎる溥儀が、不気味なほど年をとった西太后と対面するシーン、その後の豪壮な戴冠式のシーン―小さな皇帝と紫禁城を埋め尽くし、恭しくかしずく臣下たちの対比―は、映画史に残る名場面といえるのではないだろうか。

母と離された溥儀には、やさしい乳母がいた。しかし、10歳で、その乳母も紫禁城から追い出される。この頃の溥儀にとって、乳母は、愛するひとでもあった。連れ出される乳母を追う溥儀の姿は、あまりに哀れで胸を締めつけられる。やがて時代は共和制の波に襲われる。清国は滅び、皇帝は象徴的存在になる。それでも紫禁城には1200名の宦官、350名の女官、850名の衛兵、185名のコックが住み、溥儀にかしずき、1週間に3000羽の鶏,月に120枚のクロテンの毛皮が消費されたという。

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激動に生きた皇帝と捨て子の運命「ラストエンペラー・覇王別姫」adobe_pdf_file_icon_24x24

岩田裕子