マイ・フェア・レディ

シネマの宝石学―洗練された大人のおとぎ話11

ミュージカルの踊る宝石たち(2)

「マイ・フェア・レディ」

ヒロインは、最下層の汚い花売り娘イライザ。ひょんなことから、言語学者ヒギンズ教授の家に住み込み、そのコクニー訛りを直され、王族の舞踏会に出席するまでになる。レッスンが進み、訛りが矯正されるにつれ、服装がよくなり、きれいになっていくさまが、興味深い。優雅になると同時に、人格的にも、成長していく。その成果は、社交界でも第一級の舞踏会で証明された。

ヒギンズ教授により、エスコートされドレスをまとい、ダイアモンドのパリュールを煌めかせて、それはそれは美しかった。イライザは、皇太子にダンスを申し込まれた。人々は噂する。あれは、ハンガリーの王女だと。舞踏会デビューは大成功に終わり、ヒギンズは大喜び。その様子を見たイライザは、自分の人格がまったく無視されているのに気づき、この家を出て行く決心をする。

胸元のまばゆいダイアモンドがいくら似合っていたとしても、所詮は、宝石店からの借り物。すべてはずして教授に返し、唯一自分のものといえる、教授から贈られた指輪もはずして投げつける。女嫌いで、独身主義のヒギンズだが、イライザを失って初めて感じる寂しさをどうすることもできない。彼もまた、人を愛することを知り、人間的に成長したのである。
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岩田裕子