ピンクパンサー

シネマの宝石学―洗練された大人のおとぎ話05

ピンクの豹という名の快楽

「ピンクの豹」

泥棒は悪いものだけど、花泥棒と宝石泥棒に関しては、特別扱いされがちである。花泥棒はともかく、古来、王族の持ち物である名宝も、インドの寺院から、盗まれたものもあるくらい、宝石と泥棒はきっても切れない間柄なのだ。博物館や宝石店には申し訳ないが、宝石は、夢の一部でもあるのだから、お話のなかで愉しむくらいは、ゆるしていただきたいのである。

アガサ・クリスティ、ホームズもの、ルパンシリーズなど、ミステリーに、欠かせないのはもちろん、宝石泥棒のテーマは、映画にも多く登場している。今回ご紹介するのは、なかでも極め付けに愉快な1960年代映画、[ピンクパンサー]である。何の風刺も、隠されたメッセージもなく、お馬鹿なくらい、ただただ楽しい映画。いってみれば、センスだけでできている。

ヘンリー・マンシーニ作曲の、ユーモラスで印象的なテーマ音楽、可愛くって、少しどじなアニメのピンクの豹。ご存知の方も多いだろう。改めて、見てみると、その道具だてのゴージャスで、おしゃれなこと。宝石のきらきらをただただぼうっと眺めるのと同じように、何も考えず、気楽に楽しむのが、この映画の正しい鑑賞法だろう。宝石という記号が、贅沢や快楽の同義語である事を見ごとに感じさせてくれる映画である。

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岩田裕子